「外車を買うぞ!」僕がそう決心するに至ったきっかけは、ごく単純なことでした。
元々、週末には父親名義の国産車に乗って彼女と二人気ままなドライブをして過ごすことが多かったのですが、ある日その彼女が「実は私、いつか外車に乗るのが夢なの」などと言い出したのです。
とはいえ、彼女は普段ブランド物の類には全く関心を示さない、イマドキ珍しい位に素朴な子です。
僕自身、車好きですし「いつかは外車に」という夢があったとはいえ、なぜ普段は助手席専門のペーパードライバーである彼女が突然そのようなことを言い出したのか、最初は理解に苦しみました。
しかし、よくよく話を聞いてみると「なるほど」と納得せざるを得ない背景が見えてきたのです。
なんと、今はもう亡き彼女のおじいさんとおばあさんが無類の車好きで、毎週日曜日になるとお気に入りのハイカラな外車に乗って2人きりでデートに出かけていく様子を幼い頃から見ていたのだと言うではありませんか。
大好きなおじいちゃんとおばあちゃんの思い出を外車に重ねて育ってきた彼女が、外車に対して憧れの気持ちを抱くのは当然のことですし、その憧れは、いわば仲睦まじかったおじいさんとおばあさんに対する「尊敬の念」でもあるといっても過言ではないでしょう。
そうともなれば、彼女を外車に乗せてあげないわけにはいきません。
幸い、社会人になって既に5年が経過する僕の収入はある程度安定してきましたし、毎月コツコツと貯蓄してきたお金も一切手をつけていないまま残っています。
自動車ローンを組んで買うとしても、難なく返済していけるだろうと判断した僕は、思い切って外車を購入する決心を固めたのです。
でも、肝心の彼女にはまだ内緒です。
ある日突然、外車で彼女の家の前まで迎えに行ったら、きっとびっくりするでしょうね。
誕生日を3ヵ月後に控えた彼女のために、ビッグなサプライズをプレゼントしたいと考えついた僕は、まず「外車にはどのようなものがあるのか?」というところから調べてみることにしました。
本当に、間に合うのか?という不安を抱えつつも「彼女を外車に乗せてあげよう!大作戦」は決行されたのでした。